コトノハ

かるいよみもの。

『ワンモアタイム』

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アンバー・ハード、きらいだったんですよ。

ジョニー・デップと結婚したり離婚したりとか

売名だったんじゃないかとか思ったし、

ゴージャス系だし。

でもこの映画のアンバーは、ほぼすっぴんでピンクヘアー。

演技も自然だし、彼女が出ていると目が離せない。

 

ストーリーは、有名な歌手の父を持つジュードは

元パンクロッカーだけど、自分の人生がなにもかもうまくいかず

パッとしないのは父親のせい!と思っていて、

一方、父親のほうは、何十年も前から過去の人状態になり、

華やかな世界からは一歩退いた別荘地住まいなことを嘆いていて、

再起を狙っていてプライドだけは高い。

 

ジュードがアパートを追い出され、父親の家に居候しにやってくるのですが、

そこには何人目かの継母と、宿敵のような存在の妹とその家族。

妹の旦那さんはジュードの元彼。

父親は会えば説教。

これは娘のことを本当に案じているからなんだと思うけど、

家族を振り回して来たくせに!と反発するジュード。

 

妹はといえば、父親に「あいつは歌えない」とばっさり言われていて

才能があると言われている姉が無茶をして

父親の気を引いていることを苦々しく思っていて…

彼女はレストランを経営していて頭も切れ、

「妹を見習え」と父に言われる出来のいい娘なんだけど、

デュエットする姉と父を羨ましそうに見ていたり、

車の中で熱唱してみたり(下手かも…)

とても切ない。

 

そう、問題行動を起こす人間のほうが注目されるものなので…

私も子どものころはアクの強い家族たちのせいで

とてもひっそりした存在で、殆ど喋らない、

自己主張しない子どもだった。

 

でもワガママで我が強い子だったから、

本当に嫌なときは頑として受け付けなかったけど。

大きな声の人のそばで、大きな声を張り上げたって疲れるだけだし。

要求が通らなかったり期待が叶わなかった時の落胆は辛いものなので。

自分がして欲しいことや気持ちを言葉にするのが苦手になってしまった。

 

ジュードは本当に父親が好きなんだと思う。

でも小さい時から不貞を繰り返し、母親を悲しませ、

自分たちが必要とするときにもいなかったことを今でも怒っている。

そのせいで、彼女は誰とでも寝る。

名前も告げないで一夜だけを共にする。

彼女は父親によく似ているのかも。

 

風景がきれいだからなのか、

ずっと目を離せない感じの映画でした。

ラストも希望を感じさせるし、アンバーの歌もよかったです。