コトノハ

かるいよみもの。

【女神の見えざる手】

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原題はMiss Sloane。

ロビイストとか銃規制法案とか、

法案を通すために議員の票がいくら必要とか、

難しいことはいいのです。

彼女が将棋のように何手も先を読み、

時には誰もいない場所で涙を流しつつも

人前では不敵な笑みを浮かべ、

勝ち進んでいく。


しかもスレンダーな体にハイファッションを纏い、

赤毛のストレートボブはサラサラ、

透き通るような白磁の肌と、

マットな真紅の口紅。


男は金で買うもの。

ほとんど寝ない。

食事はいつも同じ中華?レストラン。


フェミニストの議員に

「あなたは男そのもの」と言わしめる。


勝つためには部下のトラウマである悲劇ですら計算に組み込み、

マスコミに差し出す。

一番効果的な場面で。


改造したゴキブリに密偵させるのはさすがに笑ってしまったけど。


でもなぜか彼女に魅了されるのは、

男ではなく、女。

最後のシーンで彼女の視線の先には

きっと【女】がいたのではないかと。


そしてどのシーンも美しい。

彼女はいつだって完璧で、

プラダを着た悪魔かな?と思わせるほど。

(サンローランのようですが)


思うがままに物事を動かしているスローンを見ていると、

孤独とか陳腐なものは口にしたくない。

いずれ寂しい老後を迎えるとか、

持たざる者の僻みにしか思えない。

お金が唸るほどあれば、いくらでも人は寄ってくる。

孤独だなんて思わなければいいのだから。


男娼フォードとの会話で

「私はあなたを買い、キャリアのために捨てた人生を思う」

後悔してるか?と聞くフォード。

「いいえ」

と答えるスローン。

彼女は人生をやり直すチャンスがあったとしても、

今の人生を選ぶのだと思う。


美人で頭脳明晰、お金があって、キャリアもある。

家庭や家族は、彼女の今の人生に引き換えるほどの価値があるか?


ないかも。