コトノハ

かるいよみもの。

万引き家族

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タイトル通り、まずは万引きシーンから始まります。
リリーフランキーと男の子が連携プレーを見せ、
カップ麺などを万引きします。
商店街であったかいコロッケを購入して帰ろうとすると
真冬のベランダに締め出された小さな女の子がいて
思わず連れて帰ってしまうリリーフランキー

高層マンションの合間に建つ平屋の一戸建てに戻ってくると、
樹木希林安藤サクラ松岡茉優がいて
軽口を叩き合いながら賑やかに食事をした後で、
安藤サクラリリーフランキーが拾った女の子『ゆり』を戻しに行くと、
部屋からは夫婦喧嘩(というよりDV)の様子が聞こえてきて
ゆりは一家と一緒に暮らすことになります。

万引きというよりも窃盗をしながらも
ほんわかした雰囲気で物語は進んでいきます。

ちゃんとそれぞれが家族としての機能をはたしていて、
一部屋に集まってみんなで食事をするとか、
一つの鍋から食事するとか、みんなで寝るとか、
一家でレジャーに出かけるとか、
今の日本では失われてしまったかもしれない生活がそこにあって。

おばあちゃんの年金をあてにしてる一家、となっているけど
月6万ですよ。
実際はおばあちゃん一人では暮らせないんじゃないかと思います。
「こっちが面倒見てるんだよ」ってリリーフランキーが言うシーンもありますし。
で、おばあちゃんが言う、
「私保険かけたのよ、一人で死にたくないから」(だったかな?)
これも後で、ああこういうことか、とわかります。


観た人それぞれ胸にくるシーンがあると思うのですが、
私が堪えきれなかったのは、
駄菓子屋さんのおじいさん(柄本明)が
今まで男の子の万引きに目をつぶっていたんだなと分かるシーン。

そりゃね、あんなみすぼらしい格好の子がちょくちょく来て
なにも買わないでいたらよく注意して見るだろうし、
おそらく万引きをやってるだろうなっていうのはわかると思うんですね。
そうなんだろうなって思ってたら、やっぱり…で涙がブワッと。
でもこのお店が閉店してしまうことで、
男の子や一家の生活が一変することになるんですね。

私は幸運にも望んだ子供を授かったけど、
産んだ当初から愛情があったわけじゃなくて…
愛情はもちろんあるんだけど、
ぐにゃぐにゃの柔らかいものを、
なんとか死なせないようにって必死になってたっていうか。

いくらお腹に何ヶ月か意識して生活してても、
「愛してるよ」って言えるようになったのは、
息子がニコニコして見つめてくれるようになってからかも。

愛情っていうのは、血のつながりよりも、
一緒の時間が育てるものだと思います。
産みの親を求めるのは、それは多分、自分のルーツとして求めてるだけで
あったかい食べ物をくれたり、包み込んで撫でてくれたり、
世話をしてくれたことに対する思いは決して消えないと思うんですね。

だから、池脇千鶴(警察官か児童保護関係者?)が
「子どもが産めなくて悔しくて盗んだんでしょ」みたいなことを言うのが
本当に憎たらしくて、言っちゃいけないことだろ!!と思ったし、
安藤サクラにもらい泣き…
子どもが欲しいのにできない思いは数年と短かったけど、経験したので…

そして最後に堪えきれなかったのは
いろいろあって服役中の安藤サクラが男の子に
「あんたたちとの生活は幸せだったから、(服役しても)お釣りがくるくらいだよ」
って言うシーン。
ほんと幸せそうだったもん…
私も混ざってもいいなって思うくらいだったから。

リリーフランキー松岡茉優ちゃんに
「あんたたち、いつセックスしてんの?しないでなにで繋がってんの?」
みたいなことを言われるんだけど、
私は、やっぱり愛情だと思う。

愛情を溢れるほどたっぷり持っている人たちが
それを注げる相手がいなくて、
受け取ることもできなくて、
寄り添って生きている物語だから。

番外。
ちなみにカップ蕎麦か、うどんにコロッケを合わせてますが
あれまじで美味しいと思うのでおすすめ(笑)
私の場合はカップじゃなくて、はなまるうどんとか自分で作った時だけど。
和風だしとコロッケって合うのですよ~