コトノハ

かるいよみもの。

マンチェスター・バイ・ザ・シー

f:id:vegamoon:20180422142204j:plain

アパートの便利屋をしているリーは

仕事は真面目だしソツなくこなすけれど、

笑顔も愛想もないので住民からの苦情が多く、

女性からのアピールも好意も受け入れられないでいて、

徐々に彼の壮絶な過去のせいで、

無気力で幸せを感じることがなくなったことが明らかになっていきます。

 

ある日、心臓病を抱えていた兄が急死し、

以前、彼も家庭を持っていた町、兄と甥が暮らしていた町に戻ります。

彼について噂する人々。

フラッシュバックのように、

ところどころ彼の幸せだった頃のシーンが差し挟まれ

とうとうターニングポイントとなる悲劇が明らかに。

相当辛い過去です。

 

なぜ甥の後見人になるのを拒否したのか、

それを引き受けた後も、ここに留まりたいと言う甥の懇願を退け、

町を離れようとするのかがわかります。

 

ちなみに甥っ子は二股かけていたり、スポーツにバンドにと

超絶リア充です。

性格も超いい子でお父さんの死も受け入れます。

覚悟があったのだろうし、慰めてくれるGFが二人もいるし。

でも墓地の土が溶けるまで遺体を冷凍することに対してだけ

感情を爆発させるんですよね…

 

リーの話に戻ると、

兄とは連絡を取っていたリーの元妻とお葬式がきっかけで再会し、

妊娠していることや、再婚したことを知ります。

きっとそれはリーもホッとしたんじゃないかと思うけど、

元妻は彼に謝りたいって言うんですね。

元妻にとっても悲劇であることでリーを責め続けていたことを。

 

それはリーのせいではなく、

避けようがなかったことなのかもしれないし、

元奥さんにしたら、誰かを責めなければ辛かったのだろうし、

リーも自分を責め続けていて、それはきっとこの先も続くから、

謝罪は必要ないって言うんですが、

それを遮り、無理やり謝る元妻。

これ一番残酷なことだなと思いました。

自分が幸せになったからって…

 

でも人間、そうかもしれない。

幸せにならなければ、恨み続けていたかもしれないけど、

幸せになったらすべて許せるみたいなところは誰しもあるだろうから。

でもエゴですよね。