コトノハ

かるいよみもの。

アリー スター誕生

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言わずと知れたレディ・ガガ主演の映画。
後に夫になるミュージシャンに見初められ、
スターへの階段を一気に駆け上る女性が主役、と思ってたけど
あれはそのミュージシャン、ジャックの物語ですね。
ブラッドリー・クーパーが主演で監督だから仕方ないのかな。

音楽を持ち込みした先々で
「鼻が大きすぎて売れない」と言われて夢を挫かれていたアリー。
ちなみに私も鼻がコンプレックスなので
(高さを褒めてくれる人はいるけど、横幅がコンプレックス)
勝手に親近感持ちつつ、鼻が話題にのぼるとこそばゆい。

それにしても、
ジャックが亡くなった父親をあんなに崇めるのはなぜなのか。
彼の腹違いの兄が貶していたように、
おそらく自分の面倒すら見られない、
たいした父親ではなかったと思うのだけど。

ラストあたりとか泣くかなと思ってたけど、
ツーンと来たのは、
出会ったばかりのジャックの身の上を聞いて、
アリ―が即興で歌うところ。
誰もがスターと崇める彼の心の穴を
あんなふうに歌ったら、心掴まれちゃうでしょう。
スターになっても満たされない孤独の中にいたと思うし。

ラストは途中から想像できてました。
むしろそれがハッピーエンドではないのかなと。
変わらないジャックに振り回され、
疲弊して、いずれ彼から離れて行くアリーの姿が見えたから。

ラスト近く、アリ―が見せる怒りも、
私には覚えのある、馴染みのあった怒り。
ああいう周りを困らせる人というのは
自分のことしか考えていない。
それが本当に腹立たしい。
本人が一番辛いんだろうけど。
怒りのやり場がないのがまた腹立たしい。

自分の嘘(これがちょっとどのことなのかわからなかった)を悔いるアリーに、
ジャックの兄が
「誰も悪くない。悪いとしたらジャックだ」と言うところで
またちょっとウルッと。

アリーの一生に一度の晴れ舞台に泥酔して上がり、
ジャックが失禁するシーンを見て、
蘇った記憶があった。

毎年、年始めにお呼ばれしていたお宅があって、
(夫の知人で、倒れてからはお呼びがかからなくなったけど)
倒れる年のお正月だったと思うけど、
例のごとく夫は飲み過ぎ、
帰る途中の階段を踏み外した夫のジーンズに広がる染み。
幼い息子を連れてるのにと怒りがこみ上げたけれど、
その時も、その後も、一言もそれについて触れなかったので、
本人が覚えていたかどうかもわからない。
(本人はお墓の中だから尋ねることはできない)

映画に話は戻って…
アルコールとドラッグのリハビリ施設に入って、
もうすぐ退所するジャックを見舞ったアリ―が
「ここを出たら家に帰ってくる?」
と聞くんだけど、
ジャックは意味がわからなくて聞き返す。
要は、結婚生活が辛くて酒に溺れるようになったのでは?
だから家には帰らないつもりでは?
とアリーが思っていることがここで如実になるのです。

夫も、結婚した頃はワイン一本でごきげんだったのが、
だんだん酒量が増えて、
最後のほうは500mlのチューハイ2本にワイン一本を
毎日飲むようになっていた。
一時期は私が飲む量を管理しようとしたけど、
子育てが始まったら、大きな子どもの世話までは無理だったし、
仕事もしていたし、
なにより夫が楽しい気分で眠りたいと言うので、
(たまの休肝日には、面白くなさそうな雰囲気を醸していた)
好きなようにさせていたんだけど。
脳の血管が破裂しなくても、
あの人はいずれ肝臓を傷めていたのではと思う。

夫が亡くなってから、
結婚生活が実は辛かったのでは?と思うことが多かったので、
アリーが恐れていた気持ちはよくわかる。
夫はふだんは全く辛そうには見えなかったけど、
稼がないといけないとか、才能で食べていく職種だったので、
プレッシャーはあったのかも。
私もプレッシャ―かけてたし。

でもジャックは、アリーと出会わなければ、
結婚していなければ、
彼はもっと早くに壊れていたかもしれなくて。
子どもが生まれようが、
ああいう人は変わらないんだよね。

私は息子を授かることができたので
結婚したのが無駄だったと思うことはないけど…
できれば違う人生を歩みたかった。

物語ではあるのだけど、
アリーがまた誰かを愛せるようになるといいなぁと思う。