コトノハ

かるいよみもの。

ブリグズビー・ベア

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産まれて間もなく誘拐されたジェームスは、
両親に外の世界は終末を迎えたと教えられ、
シェルターの中で25歳まで育ちます。
世間から隔離された彼のヒーローは、父親が作り出し、
彼のために作っていたブリグズビーベア。

ある日突然、本当の親の元に連れ戻されたジェームス。
25年間の溝を埋めようとする両親。
思春期の妹。

誰も知らないブリグズビーベア。
それを製作していた男は投獄されているので、もちろん新作は出ません。
偽の父が作っていたと知って驚くジェームスが出した答えは…
「僕が作ればいいんだ!」

ここまであらすじ。
っていうかこれだけのお話。

なんていうか、一言で言えば『やさしい世界』
悪い人は誰一人出てこない。
もちろん、ジェームスを奪った誘拐犯夫婦は両親にしたら極悪人だし、
25年間、外界と接触できず、ふつうの人生を奪われたジェームスにとっても悪人なんだろうし、
彼は被害者ということになりますが…
でもジェームスにとってはニセの両親もまた愛を注いでくれた相手なので、
恨み言は一切ないんですね。

でもブリグズビーベアに夢中のジェームスに、
本当の父親が25年間の苦悩を訴えます。
息子を持ったらこうしてやろうとか、一緒にアレをしたいとかあったのに、
それをすべて持って行かれてしまった挙句、
取り戻してもまだ誘拐犯の作ったものに心を奪われている歯がゆさ。
そこはウルッときました。
きっと妹のオーブリーも、悲しむ両親を見て育っているはずで、
いつも中心にはなれない悲しみとかあったのではないかと…

でもジェームスってすごいピュアなんですよ。
どんな人をも魅了するので、みんな彼のプロジェクトに引き込まれていくし、
ブリグズビーベアも愛されます。

一番すごいのって、ブリグズビーベアを生み出した誘拐犯
マーク・ハミルです。あのルーク・スカイウォーカー
の父親のほうなんじゃないかって思うんですけど(笑)
デザイナーらしく、グッズまで作るこだわり。

結局みんながブリグズビーベアを愛するのは、
愛情によって産みだされたものだからかも。
ジェームスを誘拐してきてしまったのは妻のほうなんだけど、
夫のほうがより魅了されてしまってたように思います。
ジェームスの愛もそちらのほうに多いし。

単館系の映画なので、二箇所でしかやってないの勿体無いですね~
DVDで観ても別に一緒なんだけど、
でも映画館で観るって、同じ時間を沢山の人と共有するじゃないですか。
迷惑な客がそばにいることもあるけど…
クスッと笑ったり、ドッと笑いがおきたり、
最後のほうで鼻をすすってる(泣いてる)人がいたりすると、
なんかいいなぁって思うんですよね…
ミニシアターだとよりそれが強いかも。
シネコンと比べて席はちゃちかったけど(笑)